ハッピーエンド恐怖症

ハッピーエンドが怖い。

 

正しく言うと、自分に似た境遇の人がハッピーエンドになっていくのを見るのが怖い。どうしようもなく怖い。ドラマやアニメをあまり見ない理由はほぼそれだ。

いや、だからといってバッドエンドが好きなわけでは決してない。なんなら書いている小説はほぼ全部ハッピーエンドだし。バッドエンドは見たくないし、見たらしばらく悪夢を見て病んでしまう。

 

でも、ハッピーエンドが怖い。

ハッピーエンドを見ると、前向きにならなきゃいけないという感覚に襲われる。ハッピーエンドに向かって頑張れない自分が否定されてしまうのが、怖い。自分は生きていてはいけない存在なんだ、みたいな、強い否定感を感じる。

自分に境遇が似ているならなおさらだ。散々共感させておいて(しかも共感するように作っておいて)突然裏切るなんて、とてつもなく残酷だなあ、と思う。いやまぁ、私が書いている小説だってまさにそうなんですけど(ただ私が書いている小説は読み返すと外的圧力によってハッピーエンドに導かれるものがそれなりに多いので、もしかしたら自分から変わらなくてはいけないという圧力が怖いのかもしれない)。

さらに言えば、そもそも変化することが怖い。私はどうせこのまま、と思っているのだろう。

 

どうせこのままなのに、変わらなきゃいけなくて、変わったところで良い未来なんてまるで見えないのに、ハッピーエンドに向けて自分が努力しなきゃいけなくて、このままでいることが決して認められない。みたいな、そんな気がして。

 

いや、わかっている。

幸せな未来に向けて頑張っている人はえらいし、素敵だ。

ハッピーエンドは別に私を攻撃するために作られていないし、これは私の自他の境界がしっかりしていないからこその問題で、作者に罪は全くない。作者としてハッピーエンドを書きたい気持ちだって十二分にわかる。自分が生み出すキャラが幸せになってくれるのはいいことだ。私の狭量さが問題なのだ。

 

わかってはいるのだけれど、でも、どうしても怖い。

 

 

これ以上、否定されたくない。もう少し、もう少しでいいから、このままでいさせてほしい。ハッピーエンドを迎えなくてもいいから、この世界で生きていてもいいという許可がほしい。ただそれだけだ。

 

頑張らない私のことを、どうか許してください。